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2016年12月23日 (金)

仕事と夢と現実と

朝から、子どもたちを相手に講演。新聞の作り方の概略を話した後、実際に文章を書いてもらったり、見出しを考えてもらったり。んで、「自由に質問」のコーナーで、不思議な感覚を覚えた。

「どうして、新聞記者になろうと思ったのですか」

まあ、よくある質問だわな。小学生のころから、親より先に新聞を取りに行き、先に読んでいたことなど、体験を話した。けれど、納得していないような表情の子どもたち。さらに質問は続く。

「出世したいですか」

出世? 記者という職種は面白いもので、1年生だろうが、30年のベテランだろうが、特ダネを書けばトップ記事になる。「出世しないとできない仕事があるのなら、そのときは出世したいと思うかもしれません」と答えた。それなりに、私の思いは伝わったと考えていたのだけれど。

「給料は多いですか」

あら? お金とシモの話は人前ですべきじゃないと思ってたけど、そんなことを直接聞くのね。そういえば最近、芸能人の給料明細だとか(彼らは厳密には「給料」ではないと思うけど)、テレビで公開するのが当たり前だよなあ。これに対しては「平均的な給与生活者より、少しだけ多めにもらっているかな」と答えた。

最後にそれぞれが感想。「これまで、新聞は読んでいなかったけど、これからは世の中を知るために読みたいと思います」みたいな、たぶん、本人が模範解答と思っているであろう話ばかりが続く。

そこで私はこんな話をした。

「皆さん。私が子どものころから新聞を読んでいたのは、勉強のためとか、読まねばならないとか、そういうことではありません。理由は一つ、読むのが面白いからです。皆さんがAKBとか、嵐の曲を聴くのはなぜですか。親に『聴きなさい』と言われたからですか。違いますよね。自分が聴きたいからでしょう。自分が今まで知らなかったことを知るのは、面白いのです。学校の勉強も、本当は同じことです」

私の思いがどれぐらい伝わったかどうか。

参加者の1人に「将来の夢は」と尋ねたら「公務員」という答えが返ってきた。公務員になりたいのなら、それはそれでいい。けど、私が子どものころ、同じ質問をされたら「お巡りさん」とか「小学校の先生」とか、職種を挙げたものだ。「公務員」は、雇用の形態を表すだけで、仕事の内容ではない。そういう答えが、果たして「夢」といえるのかどうか。

ひょっとしたら、私が思っている以上に、かつて「中流階級」といわれていた世帯の貧困化が進んでいるのかもしれない。「不景気になってもボーナスカットされない公務員はいいなあ」と愚痴る両親がいたら、子どもは自然とそういう考えのなるのかも。

一見、豊かそうに見えるこの国で、子どもたちの多くが「将来、食いっぱぐれないようにしたい」ことを目標に生きているとしたら。悲しいくらい、暗い世の中だなあ。そう考えると「将来の夢はユーチューバ-」って言われる方が、脳天気さがあって、救われる気がしてくる。

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