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2016年9月16日 (金)

お笑い地域論

【お笑い論・第123回】
今回はエリア別、笑いの質の違いについてです。いろんな違いがあるのですが、分かりやすい違いの一つが「いじりの対象」。関東では「有名人」、関西では「そばにいる人(及び関係者)」、九州では「自分(だけ)が知っている人」と分けることができます。もちろん、大まかな傾向ですので、必ずしも全てがこれに当てはまるわけではありません。

例を挙げます。
モノマネの上手なクラスの人気者がいるとします。関東では「校長先生・担任の先生」、関西では「クラスの中の誰か」、そして九州では「近所の変なおじさん」などをセレクトする傾向にあるのです。

プロの話し手も例外ではありません。
東京の漫才師は「誰もが知っている芸能人」をネタにしたがります。関西では相方や相方の嫁などが鉄板です。カウスボタンが相方に言う「お前の借金取り来てるで~」はまさに好例。これらに対し、九州の華丸大吉は「飲み会を途中で抜けだそうとする人」など、観客の知らない人物のエピソードを放り込んできます。

1980年代の漫才ブームで、関西出身の「ザ・ぼんち」が一躍全国的スターになりました。そのときのネタが「そーなんですよ、川崎さん」。関西出身ながら「有名人いじり」をすることで、東京の笑いに慣れた人たちにも受け入れられたのが、人気になった要因の一つといえるでしょう。

話が少し、脱線しました。

「華大は最近の漫才師で、九州の笑いを代表しているわけではない」という反論があるかもしれません。それでは、長い芸能生活を送っている福岡出身のタモリはどうでしょうか。「風変わりなプロデューサー」という視聴者が全く知らない人物について、延々としゃべっている様子をテレビで見たことはありませんか。また、熊本出身のコロッケが形態模写でテレビに出始めたころ、マネていた美川憲一、ちあきなおみは当時、決して一線で活躍していた「有名人」ではありませんでした。

九州出身者は「自分(だけ)が知っている人」を話題にしながら、聞いている人が「ポカーン感」に陥っていても、それを「スベった」とは感じません。

最近、音楽ライブで見た「古市雅之とTHEテラス」の佐賀出身のMC担当者もまさに、同じような傾向でした。観客の年齢層から見て、知らないであろう昔のカープの選手の名前を挙げ「ポカーン感」に陥っている人を見て「へへっ」と自分だけが笑う。本人はスベったと思っていないでしょうし「もっと観客に寄せればよかった」とも考えていないでしょう。

なぜなら、会場全体が「ポカーン感」に包まれ静かになることは、九州の笑いを知る者にとって、爆笑の渦より快感なのですから。
(お笑い評論家・ディック九州男)

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