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2016年9月19日 (月)

塩田武士著「罪の声」

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昭和最大の未解決「グリコ森永事件」。身代金の受け渡しの電話では、子どもの声が使われていた。もし、その子どもが大人になった後、自分の声が大事件に利用されていたと知ったら…そんな「if」を基に、関係者たちが事件の真相を追う物語。

400ページと厚めの本ですけど一気に読める。私の世代だと「グリ森」「日航機墜落」「阪神優勝」は多感な高校生だったので、かなり強く記憶に残っている。

犯行に使われたのと同じ日本語タイプライターが自宅にあるというクラスメートがいて(私と同じ姓だった)、試しに「どくいりきけん たべたら しぬで 怪人21面相」と打ってきてもらい「こんな感じなのかあ」と思ったり。それをキャラメルの箱に入れるといういたずらをしたり。本物は「怪人」ではなく「かい人」なんですけとね。

さすが、塩田センセイ、何年も温め続けていた題材とあって、ぐいぐい引き込ませるストーリー。どうなるのだろう、どうなるのだろうという思いを強く抱かせてくれる。

と。

ここからは私の極々個人的な思い。

塩田センセイの小説は、プロットが素晴らしく、人物設定もいい。なんだけど、その構成力と、文章の細かい部分に入れてくる情景描写がミスマッチに感じる。例えていうなら、純文学の文体で、ミステリーを書いている感じ。

「構成の力も、文章表現も腕を持ってまっせ!」と持てる力を詰め込み過ぎているのではなかろうか。新聞記事が冗長になると、伝えるべき情報が何なのか分からなくなってしまうように、ミステリーならあえて乾いた文章の方がより楽しめると思う。

どうしても両方をやりたいのであれば、映画監督でもコメディーとヒューマンドラマ両方を撮る人がいるように、構成力で勝負するミステリーと、文体を読ませる純文学の双方を書いたらいいんじゃないかな。

…ってな、素人の感想をセンセイが参考にするとは思えないけど、まあ、そんな感じ。これはディスってるんじゃなくて、応援の言葉だからね。

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