« 繰り上げ | トップページ | 連日の広島行き »

2015年7月29日 (水)

なぜ参院の「合区」はデタラメか

参院の選挙区選挙で「島根+鳥取」、「徳島+高知」の合区が決まった。一票の格差は2013年の最大4.77倍から2.97倍に縮小する。

…てなことを、何も問題ないかのように報じているんだけども。この「合区」というのは、選挙制度の理念から考えたら、全くのデタラメ。以下、つらつらと。

--------------------------

近代民主主義で、選挙制度をどうするかというのは重大な問題だ。恣意的にならないように、様々な工夫がされ、選挙制度の理念が形づくられた。理念に従って制度を決め、条文をつくる。理念は条文に優先する。

選挙制度はまず「選挙区」か「定数」のどちらかを固定するところから始まる。だから「こっちの選挙区は合区、こっちの選挙区は定数を増やす」という改正は、全くのデタラメ。「各県から参議員を出さなくちゃいけないって、憲法に書いてないよ」という主張は、理念を知らずに字面だけを追っている考え。ちゃんと、一から民主主義を勉強してください。

先進各国の国会の選挙制度を見てみる。
アメリカ…上院=各州2人、下院=単純小選挙区
イギリス…貴族院=非公選、下院=単純小選挙区
ドイツ…連邦参議院=各州の人口割代表(非公選)、連邦議会=比例代表併用制

細かい規定はあるものの、各国とも「どういう選挙制度か」というのは、一言で説明ができる。理念に従っていれば、説明できるのは当然ともいえる。では、現在の日本はどうか。
参議院=都道府県別の大選挙区+非拘束名簿比例代表の並立制
衆議院=単純小選挙区+ブロックごと比例代表の並立制

問題点はあるものの、一応、参院は「大選挙区比例代表並立制」、衆院は「小選挙区比例代表並立制」という説明ができる。ところが、今回の改正を経ると、参院の選挙区選挙がどういう制度であるのか、説明ができない。「人口が少ないところをテキトーにくっつけ、人口の多いところは定数を増やした」というのでは、選挙制度の理念を無視している。理念も理屈もないのであれば、もはや「制度」とさえ呼べない。

では、現在の参院の選挙制度が公平化というと、これも違う。制度としては「都道府県別の大選挙区」と呼べるけれども、実態は「1人区」が31選挙区で、16都道府県は複数区となっている。これは、国民の意見を反映するのに、著しく不公平である。

仮定の話として、日本中どの都道府県でも支持政党の割合は同じとする。A党35%、B党25%、C党15%、D党10%、E党5%、その他10%。全選挙区で、全政党が同じように候補を擁立し、有権者が支持政党の候補に投票したとする。実際にはあり得ないけれど、仮定の話としてもう少し、お付き合いをば。

定数5の東京選挙区はA党、B党、C党、D党、E党それぞれ1人ずつが当選する。ところが、1人区ではA党だけ。東京選挙区の死票は10%だけだが、1人区では死票が65%に達する。今回の合区で「一票の格差を是正」って言ってるけど、実態は著しく不公平になっている。

ってことで、「合区」はデタラメ、現行制度も不公平。二院の役割を考えると、衆参とも「選挙区+比例代表並立制」というのは好ましくない。「参院は衆院のカーボンコピー」という批判は、選挙制度のせいもある。少なくとも、参院の比例代表はやめて、ブロックごと大選挙区制にしたらいいんじゃないかというのが私見。まあ、現職の方々が決めるんだから、そういう面倒臭いことを提案する国会議員はいないでしょうけどね。

|

« 繰り上げ | トップページ | 連日の広島行き »

独り言至極」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1124357/61128237

この記事へのトラックバック一覧です: なぜ参院の「合区」はデタラメか:

« 繰り上げ | トップページ | 連日の広島行き »