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2010年8月17日 (火)

議員定数は誰のもの?

先ごろの参院選では、公約だか、マニフェストだか、アジェンダだか知らないけれど「国会議員の定数削減」を掲げた政党が相次いだ。与党議員の一人は「事業仕分けで国民に痛みを強いる中、国会議員も定数削減で痛みを伴わなければならない」とテレビでのたもうていた。定数削減が国会議員の痛み? 私に言わせれば、勘違いも甚だしい。議員定数を減らして痛むのは有権者であり、国会議員ではない。定数削減が国会議員の痛みであるというのは「議員=特権階級」と考えているからで、特権階級のイスの数が減ることは自分たちの痛みなのだろう。

自分たちが特権階級だと思っていると類推する理由は、議員定数の削減は衆院・参院とも、比例区の削減ばかりを論じているからだ。小選挙区で勝ち上がれば自分の身は安泰、衆院の復活当選のヤツなんて減ってしまえばいい。そう考えているのではないか。当選したら自分たちの歳費は、これまで通りに満額いただきますよ、と。

国会議員が痛みを伴うと考えているのなら、やるべきことは歳費の削減。私は議員定数拡大と、それに見合った歳費の削減こそ、必要だと思う。極端な話、議員定数を2倍にし、一人当たりの歳費を半額にすればいい。そもそも、現在の議員定数が多いのか少ないのか、欧州諸国やアメリカとの比較を真剣に考えたという話を聞いたことがない。議員さんは税制論議になると「北欧諸国では」と他国の例を出すように、まずは議員定数が適正なのかどうか、そこから議論すべきだと思う。

そして、次に論じなければならないのは、衆院と参院の違いは何か、ということ。参院は「良識の府」とか「衆院のチェック機能」などというが、それを実現するためには、見合った選挙制度が必要だ。

というわけで。私の選挙制度改革「超私案」。

・・・

まず衆院。解散がある衆院は、有権者の思いをビビットに受け止めなければならないのと同時に、落としたい候補を落とせる制度が望ましい。この点では、小選挙区制が一番いい。ただ、単純小選挙区制では地元意識ばかりが強くなり、外交などへの多角的な視野がなくなる恐れもある。これらを考えると、旧西ドイツ型の比例代表「併用」制を選択したい。現在は重複立候補可能な「並立」制で、比例代表の選挙区はブロックごとに分かれているが、これを全国一律の併用制にする。定数の割合は小選挙区4の比例6、もしくは半々。小選挙区で落選しても、政党が「この人物は国政に必要」と思う候補者は確実に当選させられる。

次に参院。現在、各都道府県別の「変形大選挙区」(中選挙区ではない)+全国の比例代表並立制の2本立て。「良識の府」である参院に、政党名(個人名もOKだけど)を書く比例代表制はなじまない。「衆院のカーボンコピー」と揶揄されるのは、この制度に起因している部分も大きい。かつてあった「全国区」はお金が掛かり過ぎ、知名度の高い芸能人らに有利だといわれた。現在の非拘束名簿式の比例代表は、知名度の高い芸能人の個人票で、政党が議席を得るという奇天烈な制度。

私が提案するのは、各都道府県の「選挙区」も「非拘束名簿式比例」も一切やめて、「ブロック別大選挙区制」一本。全国を地域ブロックに分け、各定数は10~20前後。衆院選の小選挙区では勝ち上がれないような、一家言あるけれどもユニークな人材。こういう人を国政に送ることができる。政党公認以外の是々非々で対応する議員が増えれば、参院の独自性が発揮される可能性が高まる。知名度の高い芸能人の立候補はあるだろうけど、今のようなトンデモ候補を政党が担ぎ出すような茶番は、きっと減る。

最後に。中選挙区「制」の復活は、私の中ではありえない。そもそも、選挙「制度」というものは、選挙区割りと定数のいずれかを先に決めるもの。小選挙区制は「定数1」が先に決まるから、これに従って選挙区割りをする。大選挙区制は選挙区が先に決まり、これに従って議員定数を決める。選挙区の区割りに明確な基準がなく、議員定数も何となく3~5人を人口割りにしていくというのは、「制度」と呼ぶこともできない。

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