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2010年3月18日 (木)

参政権と賛成意見

今、話題になっている外国人参政権。古いようで新しい、新しいようで古いこのテーマ。何を隠そう、何も隠さないけど今から20年前、私は大学のゼミの発表テーマに選んでいたのである。先見の明があるねえ。ただ、発表の仕方がまずかったというか、勉強が足りなかったもので、教授からは「国家転覆を企てるような人に参政権を与えちゃいかんよ」と一刀両断。…国家転覆という表現が時代がかってますなあ。
今でもこの話題を出すと、すぐに賛否の意見を言う人が多いのだけれど、まあ待たれい。暇な人は私の話を読んでくだされ。ざっくりした話なので、例外規定などは省いて、と。

以下、長文。

まず、なぜ「在日外国人」の参政権問題が何世代にも渡ってあるのかというと、根っこにあるのは国籍の問題。日本をはじめ、韓国などアジアに多いのが血統主義。日本国籍の子は日本国籍という考え方。もう一つは、生地主義。アメリカやオーストラリアなど移民や人の出入りがある国が多いといわれ、その国で生まれ、出生届を出せば国籍が取れるという考え方。日本国籍の夫婦がアメリカで出産した場合、日本とアメリカの二重国籍が得られるのは、血統主義と生地主義と、国籍の得方が違う2国だからですな。 かつて、日本では「日本国籍の父」を持つ場合にのみ日本国籍が限定されていた時代があり、生地主義の国籍の父と結婚した日本国籍の母が日本で出産すると、無国籍になりそうなケースがあった。現在はこの辺の法の不備は改められているけど。 日本に多い「在日外国人」の多くを占めるのが、いわゆる在日韓国・朝鮮人(以下、在日コリア)。ここでいう「朝鮮人」とは、朝鮮民主主義人民共和国の国籍を意味しない。韓国も日本と同じ血統主義の国なので、日本国籍を積極的に得ない限り(以前でいう「帰化」)韓国籍夫婦から生まれた子は、韓国の国籍を有することになる。 ここでいったん、外国の話に飛んで。アメリカに渡った日本国籍の子孫から「アメリカの選挙権を与えよ」という声がないのは、アメリカで生まれて出生届さえ出せば、かの地の国籍を得られるから。日本との二重国籍を持つ場合、後にどちらかを選択する必要は出てくるけど。 「国籍と選挙権」は、密接にかかわっている。もし、日本がいきなり生地主義になりまーすと宣言し、日本で生まれた在日コリアが自動的に日本国籍を得られるとしたら。日本人も、在日コリアも賛否が割れるのは間違いない。これはあまり賢くない。 日韓両国の法的な国籍の考え方からすると、二重国籍は許されない。そこで折衷案的に「一定の条件を満たした在日外国人に市民権的に選挙権を与える」のはどうだろう。具体的には、日本で生まれ、日本で生活している人には選挙権を与えたらいいじゃん。被選挙権は別にして。 その後、日本も韓国も法が整備され、外国在住者にも国政選の選挙権が与えられるようになった(一部だけど)。アメリカに住む日本国籍の人は日本の国会議員を選び、日本に住む韓国人は韓国の国会議員を選ぶ権利を有することになった(一部だけど)。ということは、在日コリアに日本の国政選の選挙権を与えると、二つの国の国会議員を選ぶ権利を持つことになるので、ちょっとここはペンディング。 それで、今回の争点になっているのが、地方参政権。日本で生まれ、日本で育ち、日本で生計を立てている在日コリアは、納税の義務が当然のごとくある。納税の義務があるなら、自分たちが住む地方自治体の方向に物を申す権利はあるのではないか。これが地方参政権を求める(与える)根拠。 この議論になると必ず「在日コリアが対馬に大量に移住して、乗っ取り計画を立てたらどうする」と言う人がいる。けど、アメリカにもリトルトーキョーみたいに、外国から来た人がルーツとなる国の文化を残したまま、生活してる場所がある。在日コリアの文化も、大きな意味で日本の文化だと考えることができれば、乗り越えられるかもしれない。 ただ。国政選は韓国で、地方選は日本でという形は、法的にあまり美しくない。一番の障壁となるのは、日本側ではなく、在日コリアの人たちがどういう形を望んでいるのか、答えが一つでないことにある。 なお、「戦争中は日本人だったのに、戦後いきなり日本国籍を奪われた」という主張に関しては「日本国籍を奪」ったのは日本ではない。連合国の植民地の人が戦後、フランスやイギリスの国籍を取得したのとは全く次元が違う。 …というようなことを論理立てせずに発表したわけ。私は憲法ゼミだったのだけど、このテーマの難しいところは、法の解釈だけではまとめきれず、高度に政治的な判断をしないと結論を導き出せないところ。逆にいえば、机上の論理の積み重ねでいくらでも違う方向が出てくるので、大学生の研究テーマとしてはおもしろいかもしれない。今こそ、法学部の学生さんには、この問題を感情論ではなく、冷静な視点で見てもらいたい―というのを結びの言葉にしておこう。

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コメント

お邪魔します。今は永住外国人という表現でごまかしていますが、ぜひ次の表現を使って70才以上のお年寄りに、前後に余計な説明をせず、唐突に質問してみてください。
「政府が朝鮮人に選挙権を与えると言っている。やってみて駄目だったら、後から選挙権を取り上げるということはできない。どう思う?」と。適当な人物がいない場合は、1945 - 70の間に在日が何をしてきたか、おさらいしてみてください。その世代が現役でまだ生きています。

在日の親戚である帰化人(元在日)の政党である公明党が、選挙前に住民登録を意図的に動かす票の調整を広く行っていることはご存じですよね。これを対馬でやられたら、対馬市議会の過半数を在日のいいなりにすることが可能です。

地方議会で竹島放棄宣言や対馬独立宣言、または架空の事件をでっち上げて韓国人弾圧非難決議を可決し、それに呼応する形で韓国軍の進駐を許すというケースは、国際政治で実際にある侵略パターンです。たかが地方政治という人が多いですが、警戒して否定的に捉えるのが政治学の常識です。

そもそも在日の過半数が、実は難民と出稼ぎ労働者で、どちらも本来は不法入国者です。外交の一括処理をする過程で便宜的に「在日」の称号を与えただけのこと。余計な政治的権利を与えないのが世界標準だと思いますが。

投稿: 通行人 | 2010年3月18日 (木) 14時44分

>通行人さん
コメントありがとうございました。お返事が遅くなったこと、お許しください。
最後の2段落は、私が調べた範囲ではおっしゃる通りだと思います。
私があれこれ述べたことは法学的見地からを中心としたもので、政治学的な考察が足りないと思っています。ゆえに、実社会にこのまま取り入れることはできないであろうことは分かったうえで書いております。

なぜ、これを分かってこういうことを書いたかというと、感情的な面を極力除き、まずは理屈だけで参政権問題を知るところからスタートさせる方が幸せな結論を導き出せるかもしれないと思ったからです。
タイトルで「参政権と賛成意見」と書いてますが、私自身、手放しで賛成しているわけではなく、法的にも政治的にもクリアすべき問題はたくさんあると感じています。このタイトルは「サンセイケン」と「サンセイイケン」が韻を踏んでるなあと。つまりダジャレ。

投稿: かげさん | 2010年3月23日 (火) 19時38分

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